(記者)
静岡新聞と申します。熱海の土石流災害の関係で何点か伺いたいと思います。まず、訴訟、裁判の関係なんですけれども、先日、遺族や被災者が新弁護団を結成して、真相の究明や再発防止を目指して、追加提訴する方針を明らかにしました。まず、この受け止めをお願いいたします。
(知事)
はい、裁判に対しては、われわれは被災者に寄り添って行くということで、今、注視してるというところでございます。
(記者)
注視というのは、何をということですか。
(知事)
裁判の成り行きをですね、注視しているということです。
(記者)
今回、真相究明に力点を置いて、追加提訴するという方針だということで聞いてるんですけれども、この1年を振り返ってもですね、行政の情報の出し渋りですとか、検証逃れによって、真相究明が必ずしも進んでいない部分があると思いますが、そのあたりについては、知事どう受け止めてらっしゃいますか。
(知事)
このやり取りは、おそらく繰り返し何回もやってるんじゃないかと思います。行政対応の検証と発生原因の検証と、これを県がやりまして、行政対応の検証につきましては、県の県議会の特別委員会で、さらに検証不十分なところがあるということで、今それをしているということを、お答えしてきたと思います。
(記者)
その再検証もなかなか進んでないようですが、なぜ真相究明進まないと考えますか。
(知事)
今はもう最終段階になってると承知しております。ですから、今年度中にはですね、特別委員会から御指摘された検証関係につきまして、検証結果をお示しできるというふうに報告を受けております。
(記者)
その再検証ですけれども、今言われたその再検証というのは、行政対応の方だと思うんですけれども、技術面の、その発生原因の方に関しても検証不足が指摘されています。そちらに対しては、どう対応するのですか。
(知事)
これについても記者さんの方から何度も同じ御質問ですね。その都度、丁寧にお答えしてきたと思いますけれど、発生原因については、よほど新たなデータ、あるいは事実が出てこないないかぎりですね、この検証で十分だというふうに、委員の先生方からお答えいただいておりますので、その件については、一段落したという認識を持っています。
(記者)
知事御自身も十分だというふうに思われてるということなんですか。
(知事)
検証委員会の先生方を尊重するという立場です。
(記者)
先日の会見でも伺ったんですけれども、盛土以外の部分っていうのが検証されてないんじゃないかという、これ、いろんな専門家から指摘されているんですが。例えば、なぜあそこの盛土が崩れただけで、土砂が海まで流れ下ってしまったのか。その辺のメカニズム、というものも解明されていないんですけれども、それでも十分だというふうに。
(知事)
全部が改善されていないということではありませんで、現在あるデータによって解明できるところは解明しきったと。今、補足の説明を、担当者がいますので。
(砂防課長)
砂防課長の杉本です。今、記者から質問がありました下流域の検証につきましては、今回の報告書の最終報告書の第2章のところで、土石流の流下した痕跡、並びに映像からどのような土石流が起こったのかっていうところの検証、その時系列的な整理、並びに規模感的なもの示させていただいております。それ以上のメカニズム的な対応になってきますと、今ある情報ではですね、これ以上の客観性を持った、科学的根拠を持ったですね、解明が難しいということもありまして、第2章のレベル以上の内容については今後は認められない、求められないっていうふうに感じております。以上です。
(記者)
知事に伺いたいんですけれども、専門的な結果はいいんですけれども、言ったように、なぜ盛土が逢初川の源頭部で崩れて、崩れたことを、確かに盛土が悪いというのは、おっしゃるとおりだと思うんですけれども。盛り土が崩れても途中で、止まってれば、28人の命は奪われなかったと思うんですけれども、そこのところはどうやって説明されるんですかね、遺族に対して。
(知事)
発生原因について、この第2章ですか。そこで説明した以上のことがわからないと。その説明しきれるところまで、しきったということを御遺族の方々にも御説明する以上のことは出来ないですね。
(記者)
その辺の説明というのは私の知る限りですと、知事から直接、御遺族、被災者に直接説明された機会っていうのがないように記憶してるんですが。
(知事)
ありません。はい。
(記者)
その辺のところは、例えば、内部検証、再検証が終わった段階で、直接、遺族・被災者に説明するという機会は設けると考えているのでしょうか。
(知事)
この発生原因、または、行政対応については全て公表しておりますので、皆様方御存知だというふうに承知しております。むしろ、被災者の方たち、残された方たちが一番大切なのはですね、一日も早く、あのようなことが起こらないような、そういう環境の中で生活を取り戻すことではないかと。そちらの方を重視して、遺族の方たちと、お目にかかる機会を持ちたいと思っております。
(記者)
復興の支援というのも当然必要だと思うんですけれども、先ほど申しましたように、その裁判で御遺族・被災者の方が真相究明を求めて、追加提訴されてるようなこともあるわけで、しっかり、その辺は、県のトップとして被災者に向き合って、ちゃんと説明すべきだと思うんですけれども、そこの説明をする必要はないというふうに考えているのでしょうか。
(知事)
裁判の中での御説明が遺族の方達にもされるというふうに思いますので、それゆえ、冒頭で申しましたように、裁判の中身を明らかにすべき所は全て明らかにして、注視していきたいと思っている訳です。
(記者)
すいません、何度も恐縮ですけれども、その同じ行政のトップであっても、熱海の市長さんは、当初は被災者とのコミュニケーションに後ろ向きでしたけれども、今、被災者に直接会っていろいろやり取りはしてます。いろいろ評価はありますけれども。知事はそういったことをほとんどやられてないと思うんですけど、それについては、必要ないというふうに。
(知事)
とんでもない。警戒区域が解除されるまでは、何とか早く、しかも無事にできるようにというふうに思っておりました。そしてこれから県も関与して、川の幅を広げたり、道をつくったりしなきゃいかんと。それぞれ、お1人お1人、また、御家族の御事情があるでしょうから。今のところ、出る準備がありますので。目下のところは現場で対応しているというのが実状であります。
(記者)
現場で対応するというのは、被災者に直接会ってないけれども、現場には行ってるよという意味ですか。
(知事)
いや、そういう意味ではありません、今、行ってませんから。会うためには行っていません、現場には行きました、もちろん。
(記者)
遺族や被災者に会う、なんていうのですかね、真相究明、なぜそういうことが起きたのかというのを説明するのは、とにかく直接じゃなくて裁判に任せるっていうそういう理解でよろしいですか。
(知事)
私の自身説明では不正確になりますから、専門部会でなされて、失礼しました。検証委員会、あるいは発生原因特別委員会で出された説明、これの以上ものは、私はできませんのでね、ですからそれを御理解いただくということがまず1つですが、理解するということと納得することとは違うと思いますので、私は心の傷というか、取り返しのつかないことが起こりましたので、何とか早くですね、日常生活が戻るために尽力するという、そういう場面で、いつでも出る用意はあります。 |